旭館や王滝村周辺の情報をお届けします。
2013年2月26日 火曜日
先日の地元紙に伊那地方の「ザザムシ漁」のことが載っていました。
「長野県人はどうも昆虫類を常食しているらしい」との話は割と知られていますが、特にこの地方ではハチの子の
全ての種類、イナゴ、蚕のさなぎ、ザザムシなど今も珍味として喜ばれ、季節になると地場産市場で生きたまま
買えたりします。ちなみに我が木曽ではせいぜい小型の蜂の子止まりです。
世間には「信州出身者」と聞くと「お国では青虫、こおろぎ、バッタなど色んな虫を喰うそうだね」
「何にもない山ん中の貴重なタンパク源なんだよね」
などと分ったような顔をして馬鹿にするのを楽しみにしている人もいます。
さて「この飽食の現代日本で信州では、なにゆえ今も虫喰いなのか?」
という問題ですが、ズバリ「美味いからです」 もう少し説明すると信州人が好んで食べる昆虫類には
その脂肪質にほかの生き物にはない実にデリケートな味があるのです。
「デリケートのことは、どうでもいいけどザザムシの話じゃなかったの?」 とそろそろ言われますよね。
・・・(言われないかもしれないけど)
ザザムシは、渓流釣師が「川虫」と総称し、最強の生き餌となるカゲロウなどの水生昆虫の仲間で
主にトビケラ類の幼虫のことです。
(詳しくはファーブル先生も真っ青になるような下の細密図参照)
ヌラヌラと暗緑色に光るイモムシに脚を付けたような姿態は、「キモイ」日本選手権のランカー級ですし、
しかも昆虫学者からは完全な「ヘンタイ」と烙印されています。
これではザザ虫クンが余りに気の毒なので、よく調べてみたら「カゲロウ類では珍しく完全変態する種」
ということで、性格的にヘンだということではないようなので「いかった」です。
また、ここだけの話ですが、脱がす(表皮をむく)とプリプリと綺麗で何とも言えない色香さえあります。
今回のバカ話は「どんなコでも脱がしてみないことには分からない」ということを言いたかった訳ではなく、
来月の渓流釣り解禁を前に見栄えは良くないが真の実力を内に秘めて冷たい川底でじっと春を待つ
まるで王滝村の人々のような辛抱強いコのことを紹介したかったのです。
それにしても栄養学や食品科学とかがこれだけ隆盛の時代に昆虫の脂に関するさしたる研究のことは
トンと聞かず、関係者の方々には、この際大いに反省していただいて、世のため人のため
あの山中先生とまでは言いませんが、大いに発奮してもらいたいものです。 ・・・・・(秀)