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旭館だより

二十日念仏(はつかねんぶつ)のこと

2013年2月1日 金曜日

私の集落に伝わる正月行事として松飾りやお札などを焚き上げる「どんど焼き」の外に

1月20日には二十日念仏という集まりがあります。
「念仏講」を調べてみると「主に浄土宗にみられる南無阿弥陀仏の念仏を唱えることで

極楽往生を期する集団のこと」とありました。
昔からある村の伝統行事と簡単に言ってしまうのが憚られるような永い、永い歴史があるようです。
各地にも似たような風習が見られるそうですが、集まった人々が輪になって念仏を唱えながら長い

数珠をぐるぐる順に回していくもので、長老が何やら難しい口上を述べてから始まります。

 

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今ほど過疎が深刻でなかった10数年前の王滝村で既にこの行事の伝承を危惧する地区住民が居て

この口上の書面写しと録音を残したことは慧眼と言えるでしょう。
これが次第に「頼母子講」とか「無尽」と呼ばれる庶民金融の集まりにも分化していった歴史もあるようです。
そういえば私が物心つく頃はこの念仏講だか無尽だかよく分らない人寄りが特に野良仕事のない冬に頻繁

にあったような憶えがあります。娯楽の乏しい時代のこと、多分女たちは漬物でお茶飲み話に興じ、

男衆は年に何回ありつけるか分からぬ一杯の焼酎か冷酒を楽しみにいそいそと集まったように思います。
今では、念仏に招待した高齢者を地区民がご馳走して共に親しみ、ねぎらう宗教色のない催しですが、

貧しい中でも寄り添うように暮らした昔の日本人の心の温かさ、優しさが伝わってくるようです。

 

 ・・・・今回は、らしくないとても真面目な内容になりましたが、我ながら尻のあたりがこそばゆい思いです。

      やはり私にはそれなりの馬鹿っ話の方が居心地が宜しいようです。   ・・・・・(秀)

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